ハーブや園芸に関すること

とても重要なもの 〜 用土

植物を育てるのに最も重要なもののひとつは土。園芸は土作りであるし、土をいじること。植物園に行けば土を確かめて、畑を見れば土を眺める。なんてことまではしないけど、でも、気持ちの上の何%かは土に向いてる。こんなんでも育つのか、とか、これはいいな、欲しいな、とかね。花泥棒の気持ちは理解できないけど、土泥棒の気持ちは理解できる。しないけど。ハーブの土とかの園芸用土を使ってもいいけど、自分で配合する方が圧倒的に楽しい。ちなみに、安い土はそれなりで、たまにキノコが生えたりするものもあるから、心しておこう。ハーブを育てる土には、どんなのがいいだろうか。少々乱暴だけど、一般的な傾向に沿って、ささっと紹介してみる。

大抵のハーブは肥料をあまり必要としない。実はこの点はありがたい効果がある。養分を高めるためには、牛糞や鶏糞や骨粉なんかを使うわけだが、こいつらははっきり言って臭い。近所迷惑にもなるし、良い香りのハーブを育ててるのに、あたりが臭くなるようでは、とかって思い悩んでしまうわけだ。修行が足らんと言われるかもしれないが、だってそうなんだ。養分をたっぷり含んだ土を作る必要が無いなら、臭くない土が作れるぞっと。ベランダでも室内でもいいわけじゃん。

さてさて、次なる基本から。大抵のハーブは酸性を嫌い、中性からアルカリ性を好む。らしい。らしいと言うのは、差を体感した経験が無いから。枯れるわけではなさそうけれど、成育が芳しくなくなるのかもしれない。ph(ペーハー)を測る道具も無ければ測る気も無く、鵜呑みにしてるんだ、実は。きっと誰かがちゃんと実験してるんだろう。多くのハーブの原産地は土壌がアルカリ性で(石灰質が多いんだ)、日本の土壌は酸性で(火山性だからだね)、育ち難いんだって。ま、そんなわけで、酸性の用土は避けることになる。鹿沼土やピートモスなんか。地植えするなら石灰を撒いて中和。

一般論だけど、園芸用土として重要なポイントは、通気性と水はけが良いことと、保水(保湿)性が良いことにある。一見これらは相反するもののようだけど、そうだな、例えば、水溜まりはできないが、湿り気が残る状態を考えてもらいたい。水溜りができるのは滅茶苦茶水はけが悪いことだし、すぐに乾いてしまうのは保水性が低いことだ。水はけと保水は園芸全般で重要、特にハーブにおいては、水が多すぎると根が腐るなど、特に水はけが重要となる。粘土のように、細かい粒がぎっしりと詰まっている状態は最悪で、最も水捌けが悪い。適度な大きさがバラついた状態となっていることが望ましい。

具体的な土作りを考える。素材となる用土を紹介する。これらを混ぜて土を作ろう。

赤玉小粒赤玉。基本的には粘土が玉になったようなもの。大粒、中粒、小粒があり、用土とするのは主に中粒か小粒。大粒ははちぞこに使ったりするね。挿枝などの場合は単用(混ぜないで赤玉のみを使用)する場合もある。他の用土と混ぜて使うことが普通。中性であり、有機分を含まない。つまり、肥料としての効果は無い。用土を混ぜるときのベースになるものと考えれば良いね。なお、長期間使い続けていくと、砕けてしまい、粘土質になってしまうわけだが、その頃には植え替えも必要になっているだろう。花壇とか、長期的に使うんなら硬いほうがいい。値段の高いものほど硬い傾向にある。買うときにこっそり袋越しに硬さを確認する手もある。ベースの基本。

バーミキュライトバーミキュライト。蛭石(ひるいし)なるものを焼成したもの。金色に光る、ごく軽い用土。薄い板状のものが重なったような構造をしている。水はけ、保水性に優れていて、中性。有機分を含まない。軽くて見た目も良いので、ハンギングやキッチン用にも向く。非常に便利で好んで使う人も多い。逆に軽すぎるので鉢植えにすると倒れ易くなってしまうのと、水遣りを多くすると流出してしまうから注意。赤玉同様、長期間の使用で粒子が細かくなる。粉が舞うんで、これは普通害はないけど、吸い込まないに越したことはない。ベースとして使用できる。

腐葉土腐葉土。読んで字のごとく、落ち葉が腐り、土のようになったもの。有機質であり、中性。養分に富む。ただし、完熟したものを使用することが望ましい。完熟していない場合、つまり、葉の形がそのまま残っているような腐葉土では、病害虫のリスクがあるんだ。それに、腐敗が更に進むため発熱などのもとになり、植物にとっては好ましくない。質の悪い腐葉土は避けよう。ビニール袋越しに確認するのも難しいんだけど。無機質である赤玉土と、有機質である腐葉土を組み合わせる用法は、多くの園芸書にも掲載される通りの常套手段。

バーク堆肥バーク堆肥。バークとは木材の皮を意味するもの。堆肥とは、有機質の廃棄物を腐らせ、肥料や用土として使用するものを指す。つまり、バーク堆肥は、木材の皮を腐らせ、土のようにしたものである。当り前。腐葉土と何が違うかというと、もともとの素材が違う。性格と用法はほぼ同じ。バーク堆肥と腐葉土とは、人によって好み(選択)が別れるようだ。筆者はバーク堆肥派。なんでかって、うーん、なんとなく。

くん炭くん炭。モミガラを焼いて炭にしたもの。炭なだけに真っ黒で、もとがモミガラなだけに軽い。炭は多孔質であり、中性を維持することや、水を浄化することなどの効果が期待できる。冷蔵庫に入れる臭い取りの活性炭と同じことだね。炭素が化学作用をするとは考え難いけど、触媒効果とかもあるのかもしれない。炭と言えば、木炭を砕いたものもあるが、価格的にも、手軽さの面でも、くん炭の方が簡便。用土のベースとしてではなく、補助として用いる。

その他の補助材料としては、肥料的な意味を含め、苦土石灰や貝化石など、ミネラル分を補給し、土壌をアルカリ性に持って行くようなものがある。貝殻や蟹殻については、焼成や粉砕、堆肥化などの加工を経なければ肥料効果が低いらしいから、食べカスを撒くのはちょっと疑わしい。疑わしいと言えば、卵の殻も疑わしいぞ。その他、身近なものを思い付くままに列挙してみる。コーヒーの粉(インスタントではなく、レギュラーである)は炭の一種であり、上記のくん炭のような効果が期待される。紅茶ガラについても疑うが、犬猫の忌避効果はあるのかもしれない。

と書いてから、ずっとずっと日が経ち、読み返してみて思った。やばい。コーヒーの出し殻、これはまずい。あれは完全には炭化していないし、当然完熟もしていない。つまり、発酵するのだ。で、発熱するのだ。まあ、少量だったらいいだろうけど、多量に使っちゃあならないんだ。茶殻も危なっかしい。

さあ、では筆者のスペシャルレシピを披露しよう。単純である。赤玉小粒、バーミキュライト、バーク堆肥を等量混ぜ、1割程度のくん炭を加えるだけである。植え付ける苗の種類や様子を見て、配合に若干の気持ちを加える。水はけ重視なら赤玉を増やすし、肥えた土にするなら堆肥を増やす。鉢底にネットを敷き、珪酸白土(無ければ適当に軽石)のようなものを適当に置き、その上にこのブレンド用土を用いて苗を植え付ける。苗を植えた後は、表面にバーミキュライトをさっと撒いておくと見栄えも良い(そのうち水遣りで流れてしまうけど、誰かにあげるときとかも良いよ)。

写真は、すべて、デジタルカメラで接写したもの。筆者が見ても何だかわからないから、役に立ってないね。

おっと、重要なことを言い忘れるところだった。腐葉土とかには病原菌が入っていることがあるらしい。新聞に掲載された記事を見た人から得た情報だが、レジオネラ菌によって肺炎を起こす危険性があるとか。そうそう症例が多いわけでもないようなので、体が弱い場合などに起きるのだろう。腐葉土に限らず、有機質の用土を扱う場合は、できるだけ吸い込まないようにマスクなどをして、後で手洗いを充分に行うことが重要だ。くん炭やバーミキュライトなども粉が舞うので吸い込まないようにしたいしね。過度に怖がるのも良くは無いけど、無防備ではちょっと、ね。あ、この話は又聞きなので、ちゃんと知りたい人は掲示板にでもどうぞ。

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