ハーブと花の写真講座

失敗写真

まずは次の写真を見てもらいましょう。いずれも失敗作。
ちょっと小さめの表示にしてあるので、判り難いかもしれませんけれど、それぞれ何かしらの理由で失敗作、ボツとなってしまった写真達です。中には、わざと失敗したものもあります。さてさて、何をどう失敗したのか、まずは当ててみてください。沢山あるかもしれない駄目なところの中で、一番駄目なところ、致命的なところを見つけてください。
まあ、小さい写真ですし、引っ掛けクイズみたいなものもあるので、当たらなくても気にしなくて構いませんよ。
オリス ミント ラベンダー なんだっけ? カモミール パンジー
下にあるそれぞれの解説では、写真の上にマウスカーソルを載せるとポイントとなっている部分に印が出るようになっています。

解説

1
では、まず1枚目からいきましょう。

ピントも花芯のシベに合っているし、花弁の模様も色も綺麗に出ていますよね。どんな花だかわからない、右上の背景が花の色とかぶっている、てのも確かにあります。全体として多少インパクトには欠けた写真ではありますが、でもまあ、こういったことは許せなくもない。
これはオリスという花で、マクロで寄せていったんですが、右側に枯れてしまった別の花が一緒に写っています。枯れた花と咲く直前の花は写真上で見ると結構似ているので、色合いの関係でさほど目立たないでしょう。黙っていれば誤魔化せるかもしれません。
けれど、枯れた花が写っている、そう思って見てみると、確かに邪魔。見れば見るほど気になってきます。邪魔。
枯れた花を取り除いて撮るか、避けて撮るか、そういう工夫が必要ですね。ファインダーを覗いたときに、できるだけ隅々にまで目をやって、要らないものが入らないようにしないといけません。


2
さて、次に2枚目を見てみましょう。

ミントの葉です。ただただミントの葉。だからどうした。何が言いたいんだ。
そうなんです。言いたいこととか、見せたいこととか、そういう意図が伝わってこないんです。ぼんやり見る分には良くても、じっくり見始めるとつまらないような、落ち着かないような。
主題が不在になってしまっている。別の言い方をすると、主題になりそうなところ(芽の部分)が沢山あって目移りしてしまう。しかも、芽が同じ方向を向いているでもなく、綺麗に並んでいるわけでもない。
図鑑の写真に使うとか、そういう用途によってはこの写真でも良いでしょう。葉の形や模様はきちんと出ているし、「はびこったミント」という感じも表現できていますから、説明用になら使えなくはない。けどやっぱりつまらない。
どれか一つの芽をメインにすえて、テーマを絞り込むべきでしょう。


3
さてさて、3枚目です。すこしわかりにくいでしょうか。

ラベンダーです。中央の花をよく見てみましょう。背景がややぼけているので印象は薄くなっているものの、花の上に枝が刺さり、花が咲いているように見えます。串団子か2段ロケットか。
左下の花は首から下が切れてしまっているので、これも良くはありません。写真のど真ん中に花があるのも、あまり褒められた構図ではありません。それらを許したとしても、串団子は許せません。
そう思ってよくよく見ると、茎の後ろに葉が重なっているし、花の後ろにも背後霊のごとく別の花が重なっている。重なりまくり。
花に枝が刺さってしまう写真は、人物写真で頭から木が生えているのと同じく、後になってから気付くことが多いものです。主題にばかり目がいくと、意外と見落としてしまうので注意しましょう。
この写真はわざと重なる位置に動いてから撮ったんですが、こんなことにならないようにするには、背景に気をつけながら撮影する角度を変えることですね。


4
続きまして、4枚目です。これはクイズ。

何の葉だったっけかなあ。レモンバーベナだったか。とにかく変な写真。ピントとか背景のボケとかは悪くなくて、葉が主題かもしれないけれど、それにしても控えめで中途半端。
実はこれ、テントウムシがいたんで、その飛翔の瞬間を捉えようとして間に合わなかった写真なんです。実際のところ、テントウムシ発見 → カメラを構えて撮影準備 → 予想より早く飛翔 → 飛んでいった方向へカメラを向けつつパチリ。葉の先に離陸直後のテントウムシが写っていれば、良い写真だったんですけどねえ。
花の写真を撮っていると、たまに虫の写真も撮りたくなるんだけど、普段動かないものを相手にしているせいか、シャッターチャンスを逃すこともあるんです。多少の言い訳を許してもらえれば、使用しているカメラのタイムラグ(シャッターを押してから実際に撮影されるまでの遅れ)が大きいせいってことになります。飛んだ→パチリ、じゃ間に合わなくて駄目で、飛びそう→パチリ、にしてうまく撮れる。はずなんだ。
こんな失敗もあります、頑張って再チャレンジします。


5
やってきました、5枚目です。小さいからわからないかも。

カモマイルと蜂の写真。カモマイルの花がごちゃごちゃ散らばっているだけじゃあ面白くないから、主題というわけでもないけど眼をひきつけるために蜂を入れてみた。なかなか良いアイデアなんだけど、蜂がブレてます。
画像を縮小表示しているんで、ブレも気付きにくいようになっているけど、花弁のフチがくっきりしているのに対して、蜂がぼやっとしているのはわかるでしょう。こんな風に蜂だけがはっきり写っていないようなことに関して、漠然とした違和感を感じたりするものです。なんとなくしっくり来ない写真。もっと大きいサイズだと当然致命的です。
蜂のブレが最大の欠点ですが、それ以外にも、ちょうど中央部分で花弁が欠けてしまっている花が写っていることも気に入りませんね。可愛い蜂に免じて許す、わけにもいかないよねえ、ブレているから。


6
最後、6枚目

ハーブではないですね、パンジーです。あっち向いたりこっち向いたり、ごちゃごちゃしてます。あんまり良い構図ではありません。それでも、左側の花がそこそこうまく写っているから勘弁しておきましょうか。と思ったら、そのすぐ横。隣の花が痛んでいるじゃないですか。そう、1枚目と同じパターンですね。余分なものが写ってしまっているという。
無傷の花が集まっている場所なんてなかなか無いんですよね。相手は人工物ではないし、無理に寄せ集めるのもかわいそうかも、と思うし。仕方ないんで、ゆっくり探すとしましょう。


言い訳

とまあ、失敗作を並べて、良くないところの指摘をしてみたわけですが、これらは揚げ足を取っているようなものです。言い出したらキリが無いし、完璧な写真なんかありません。
そもそも、こんな風にチェックしていったら、このサイトの写真はほとんど全部が失敗作ってことになってしまう。それでもいいんだ、多少のことには目をつぶれって、そのくらいの気持ちも大切なんだろうと思ったりしています。そうでなければ、写真掲載サイトなんてやってられませんしね。

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