ハーブと花の写真講座

シャッターチャンス

タイム 植物の写真を撮る場合、いわゆるシャッターチャンスはほとんど意識する必要がありません。なにしろ動きませんし、表情が変化するわけでもありませんから。ここの写真のように、たまたま蜂や蝶やテントウムシを入れるとかいう場合や、逆に虫を入れたくない場合くらいでしょうか。
散歩の人が後ろにいるときなど、「あっち行け」とは言えませんので、暫く待つことは必要ですけどね。風がある日には収まるのを待つ、雲がある日は太陽が出るのを待つ、逆に日差しが強すぎるなら曇るのを待つ。どれもシャッターチャンスとは言い難いですね。

それでもシャッターチャンス

タイム1 タイム2 タイム3 タイム4
ハチや蝶を入れたりする場合は、タイミングが重要になります。勝手に動き回るし結構速い。きちんとピントを合わせて、いいポジションに収めるのは、それなりに練習が必要になります。上の写真は、幸いなことにピントは問題ないんですが、左から2枚目は下向き、3枚目なんかはこちらに尻を向けてくれています。(1枚目にハチが写っていませんが、撮り損ねたわけではありませんので念のため)
昆虫写真は、それだけでも奥が深いんです。花のついで(?)に撮るような気持ちではうまくはいきませんね。
花の写真を撮る場合、本来的な意味でのシャッターチャンスは、このように動物などを写真に入れ込むときくらいにしか問題にはなりません。ここでは、もっと広げて「写真を撮るタイミング」ということで気にすべきことを述べておきます。そりゃそうだろ、とか、そうなんだよね、と言うような事ばっかりなんですけど。

季節・天候・時刻

まあ、シャッターチャンスという言葉はそぐわないんですが、とにかく重要なのは、第一に季節でしょう。同じ季節の中でも、週によっては変化するくらいに考えてください。ハーブの類は比較的花期が長いようですから、桜やチューリップのような今日か明日かというスリルは感じないでしょう。とは言え、盛りの時期に入ってしまうと、遠目には咲き誇って美しくても、一部の花は枯れ始めていたり、花弁が傷ついてしまっていたり、と、マクロ撮影にとってはむしろ難しくなってしまいます。8割がた咲いている状態よりは、2割がた咲いている状態のほうが撮影には適しています。とすると、いくら花期が長いとは言え、やはり小まめにチェックをするに越したことはない。時間は元には戻せないし、逃せばまた来年になってしまいますからね。
などなどとおどかしているようですが、数日間の差であれば、写真が撮り易い撮り難いという差、それもわずかの差にしかならないので、あまり気にしなくても構いません。(だったらクドクド言うなよって?)

さてさて、天候。こればっかりはどうしようも無いねえ。まあまず、雨が降ったりしたらどうにもならないんですが、晴れればいいってものでもないです。どピーカンに晴れ渡れば良いかと言うと、簡単にそう考えるわけにもいきません。日差しが強い場合、被写体に影ができてしまうとかえって汚く見えることがありますから。少なくとも、形や細部を見せるためには影は邪魔なんです。これまた後で気付くことも多いので、撮影の際に注意を怠らないように。なにしろ、折角の日差しですから、うまく使いましょう。
影の部分に光を反射させて当てる方法があります。あまり強い反射光を当てると、不自然になりがち。鏡のようなものではなく、白い紙などを使うと良いでしょう。日差しをさえぎり、光線を弱める方法もあります。あまりちゃんとさえぎってしまうと、被写体だけが暗くなり、背景が明るくなってしまうことがあるので、この点も注意が必要です。さえぎるということでは、レンズが太陽の方向を向いていると直射日光が入り込み、レンズ内で反射した「ハレーション」が生じることがあります。レンズが陰になるよう、手とか紙とかをかざしましょう。よく言う「ハレ切り」です。
強い日差しを積極的に使う方法として、逆光での撮影があります。花弁が透ける効果を狙うとか、葉の周囲に光が回りこむのを狙うとか。大き目で薄い花弁の花では非常に効果的で、うまく使えば美しい写真が撮れます。この辺は別のコーナで紹介します。もちろん、レンズを通して太陽を直視しないようにも十分注意してください。
日差しが強い場合、通常は気にならないレベルだと思いますが、紫外線の影響で画面に青味がかかることもあります。

天候に含まれますが、風の影響も非常に大きいものです。マクロ撮影の場合、花が1ミリ動いただけでも大きなブレとなってしまいます。風にざわめく花、というのは、風景写真ではともかく、マクロ撮影ではほとんどうまくいきません。どうしても風の日になってしまって、風が収まる瞬間にシャッターを切ることもあります。その場合はほとんどの写真がボツになってしまう危険性まではらんでいるんですね。風さえなければ、多少の曇天でもシャッタースピードを長くできますから、日差し以上に風の影響の方が大きいとまで言い切ってしまいましょう。

時刻は、まあ普通はやっぱり午前中でしょう。筆者自身ネボスケなので大抵午後から、昼食を済ませてからのんびり出掛けていくんで、偉そうに言えた立場じゃないんですけど。夏場などは花そのものが暑さにやられて元気が無くなってしまっていることもあるし、そもそも日が暮れてくるまでの残り時間を気にするのもなんだし。午前中が一番。どこまで行くのかによりけりですけど、早起きは三文の徳、善は急げ、ですもんね。

シャッターチャンス??

結局のところ、花のマクロ撮影では普通で言うシャッターチャンスなんてことは意識しなくていいんですが、撮影チャンスはうっかりすると1年後になってしまうかも。計算してみたら、1年のうちの1週間って、1分の中の1秒と同じくらいの割合なんですよね。

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