ハーブと花の写真講座

ピント位置

そうです、ピントが合っていなければ写真は話にならないですよね。そうは言っても多少甘いのは勘弁して欲しい、なんて、言いたくもなりますけど。ここでは、ピントを合わせる方法、ではなく、どこにどうピントを合わせるのかを少し考えて見ましょう。マクロ撮影の場合は、「絞り」の項で述べたように、ピントあわせが非常にシビアになり、数センチ、数ミリずれただけでボケてしまうことが起きます。ピントを合わせる部分をよく考え、選ぶようにしましょう。
一般に、動物であれば目にピントを合わせるべきと言われています。また、花であればシベ(オシベ、メシベ)にピントを合わせるべきと言われています。これに逆らった写真は成功させる(美しく見せる)のが大変難しい。無視できないセオリーとして覚えておくべき、守るべきことです。

実例

実際に、ピントを合わせる位置をずらした写真を比べてみて見ましょう。
被写体としてはセージの写真です。セージは非常に立体的な花であり、正面から撮影した場合には花全体にピントを合わせることが難しくなってしまいます。

セージ
こちらを向いている花の上部の花弁(上唇)の先端部にピントを合わせたサンプルです。下部の花弁(下唇)もこの程度の画像サイズであればボケているという印象もあまりありませんし、右向きの花弁についても同じく見られるレベルになっています。最も細かい部分が緻密に表現できているため、標準的であると言っても良いでしょう。
難点は、枝や蕾がボケているため、花が浮き出しているような図柄になっている点です。構図の問題でもありますが、多少違和感を感じるところでもあります。

セージ
次は、やはりこちらを向いている花の下唇にピントを合わせてみたものです。上の写真に比べると、上唇先端部がややボケている代わりに、下唇のディテールが表現されています。右向きの花弁もはっきりとしており、上部の蕾も随分くっきりとしてきました。花弁が浮き出しているような違和感も減り、立体的な印象を与えてくれる程度となってきています。もしかしたら、これが一番良いのかもしれません。
こちらを向いている花の上唇先端部の多少のボケがややもすると全体の印象を甘いものにしている傾向はあります。

セージ
思い切って、にピントを合わせてみました。中央部にくっきりとした主題が存在し、周囲にボケた花弁が配置されているように見えます。つまり、この写真はあくまでも蕾が主題であり、花弁は脇役として一歩後退しています。主題と蕾とするのであれば、これは良い写真となります。
ところで右側の蕾の下に糸のようなものが見えていますね。こればっかりは取り除いておくべきでした。

セオリー

最初に書いたとおり、シベにピントを合わせるのが第一のセオリーです。ただしこれを上回る重要なポイントは、主題をはっきり見せるということです。タイトルや文章を添えることで、より一層効果を発揮することもあります。ただひたすらピントを合わせるだけでなく、見せたいものを明確にしてからアプローチすることがやはり重要というわけです。
上記のサンプルは、違いが解り易いように撮影したものです。恐らくは、実際には、もっと絞り込んで、全体にピントが合っているような写真にすべきでしょう。撮影日は風があり、絞り込めばブレてしまうためチャレンジをしなかったというのが事実です。負け惜しみではなく、そうやって撮った写真が美しかどうかは別の話になるかもしれません。

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