ハーブと花の写真講座

分割点

構図の話をする上で最も重要なのは被写体(主題)の位置であることは言うまでもありません。重要なのは、主題だけではなく、全体的な配置のバランスにありますが、まずは、セオリーである分割点から紹介しましょう。筆者個人としては、このセオリーは「良い写真の多くはこうなっている」というようなものだと考えています。十分に役に立つので意識するべきですので、ここで紹介を行いましょう。

分割点

一般的におさまりの良い構図としては黄金分割点や3分割点に被写体、あるいは、ポイントとなるものを置く、ということがあります。
黄金分割点
対角線を引いた後、別の頂点からその対角線に垂直な線を引いた交点が黄金分割点です。左図の赤い線がこれを示しています。左図では、カメラフィルムの縦横比に合わせ、3:2(横:縦)で描いていますが、pc画面(一般に4:3)でも同様となります。
また、縦と横を3分割した線を引き、その交点を3分割点と呼びます。左図の青い線になります。この3分割点と黄金分割点は見ていただけば解るとおり、非常に近接しており、どちらをとっても変わりが無いため、より扱い易く見易い3分割点を使うことが普通です。(わざわざ区別して扱うことの方が稀でしょう)
ではまず、比較して見てみましょう。

分割点上への配置

エキナセエア
エキナセア。咲き始めの若い花です。
まるでどこかの国旗のようですね。いわゆる「日の丸構図」の典型的な例になっています。逆にまあ、これも面白いと言えなくはありませんが、子供のお絵描きのようで、採用するには勇気がいります。
エキナセエア
右上への配置。
上に向かって咲いている花を上の方に置いたため、頭を抑えられているような窮屈な感じがあります。わずかながらも花弁の上部が切れています。もしこれを切れないようにしたとしても、窮屈感が残ります。
エキナセエア
今度は思い切って、右下の分割点に置いてみました。
茎が短くしか写っていませんが、上方の空間が確保できたことが良い印象を与えてくれます。左上には何もありませんが、背景が微妙な模様になっていて、これも良い方向に作用しています。


サントリナ
サントリナの花を中央に置いて撮ってみました。
これまた見事な「日の丸構図」。かわいいと言えなくもないですが、面白味がありませんし、所在無さげにさえ見えます。図鑑用であればいいかもしれません。
サントリナ
今度は右下。
上の日の丸構図よりはむしろ安定感があるようです。広がりもあり、悪くはないようですが、この写真について言えば少々寂しい感じがします。
サントリナ
次に、右上の分割点に置いてみた写真です。
これはなかなか良い写真になりました。下の方に写っている葉が良い効果を出しています。これらの葉は分割線のちょうど下に位置しているため、構図としての安定感を強く発揮してくれているのです。


ベルガモット
ベルガモットの花です。花としては小振りで、まだ咲き始めの状態。
ダイナミックな形をした花であるため、中央に置いてみてもそれほどおかしな写真にはなっていません。これはこれでも良いかもしれませんね。
ベルガモット
右下の分割点。
花本体に関してはやや窮屈な感じはありますが、左上に伸びている花弁を意識し、これの付け根部分を分割点に置いてみたものです。しかし、実は大きな問題が発生してしまいました。首が切れたようになっている点です。上述のエキナセアではやや仰向き加減であったのが、こちらはうつむき加減のため、より気になってしまいます。
ベルガモット
右上の分割点を使うつもりで、かつ、左上の花弁を画面におさめてみました。
結果として、中央よりやや右寄りに花を配置しただけ、という写真になっています。分割点は、花の頂上部と付け根部にありますから、分割点を使っていると言えなくもありませんが。
左上に伸びている花弁の先が切れてしまっているのは少々残念なところ。けれど、この写真が最も良い構図となっていますね。

色々なサンプル

カモマイル
カモマイルです。
枝が右側3分の1の縦線に乗っており、花の頂点が3分割点に合っています。花の位置としてはやや低過ぎとも言えますが、頂点部分の多少明るくなっている部分が分割点にきています。
カモマイルの花はヒマワリと同じく、小さな花が集まっていて、この写真ではそれが外側から順に咲いていっている途中状態になっています。
ドクダミ
続いてドクダミ。一応和製ハーブ。
これも上のカモマイルと同じく、花が右側3分の1の縦線に乗っていますね。分割点については、花の一番下の部分(白い花びらのように見えるガクの中心)にきています。
ストエカス
ラベンダー、てっぺんにリボン(苞葉)をつけたようなストエカス種です。
この写真は、まさに3分割法に則ったものとなっています。花全体が左側3分の1の縦線に乗っていて、花の中心上部、苞葉の付け根部分が分割点に合っています。更に、苞葉の1枚が対角線に沿って右上の分割点に至っています。
セージ
ペインテッドセージ(サルビア・ビリディス)です。
これも典型的な3分割法写真となっています。2つの花がそれぞれ3分割線に乗っており、ちょうどポイントとなるところに分割点がきています。
エキナセア
エキナセアの開花状態と開花直前状態の花。
分割点を利用して並べてみました。もう解説の必要もありませんね。

上のセージと並べてしまうと、構図が似過ぎていてつまらなく感じてしまうかも。

その他

こうした説明をしておきながら、分割点を意識した写真は、当ギャラリー内では決して多くはありません。ここのコーナでは、分割点を強く意識して撮影したものを置いていますが、他のコーナのサンプル写真では分割点を外しているくらいです。これの理由はいくつかあるのですが、まあ、結果オーライというところ。知っておくべきだけれど、気にし過ぎないように、というのは「講座」としては問題発言かもしれませんけれど。

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