PCやネットワークに関すること

インターネットの歩き方 〜 電子メール

電子メールは使い慣れるととても便利なものです。また、単に便利であるだけでなく、メイリングリスト(ML)に加入したり、メールマガジン(MM)の購読を行ったり、新しいコミュニケーションツールとして使うことができます。電子メールを活用することで、多くの情報を得たり、広く意見を交換することができるようになるわけです。電子メールを使用するための設定方法は、プロバイダが教えてくれますし、マニュアルを見ることで、どうやって使うかを知ることはできます。しかしながら、操作の方法は解ったとしても、本当の意味での使い方が上手に解説されているわけではありません。そして、使っているうちに出てくる疑問や、起こしてしまう問題については、必ずしも答が得られるとは限りません。初心者の方が起こしがちなトラブルについて、いくつか説明を行いましょう。これらは、操作している人自身が悪いとは限らないものですし、知らないうちに起きてしまうようなものであったりします。

メールソフトそのものが問題を起こし易いものだと言っても過言ではありません。メールソフトは、それぞれ得意不得意があったり、特殊な機能を持っていたり、逆に拡張機能をサポートしていなかったりします。もちろん、専用の解説書やマニュアルがあるのですから、操作方法を調べれば良いのですが、慣れてないうちはどういう機能があるかも想像がつきませんし、それらが一般的なものか特殊なものかも解りませんね。実は、メールソフトがもっている多くの機能は独自な拡張がされているものなんです。例えば文字の大きさを変えたり、色を変えたりしても、同じメールソフト同士でなければ見ることができなかったりします。違うメールソフトを使っている人にとっては、まるで暗号のように見えてしまうことだってあります。相手がどういうメールソフトを使っているか解らない場合、また、MLのように複数の相手先にメールを出す場合は、できるだけ標準的な設定を行うようにしないといけません。

メールにしても何にしても同じなんですが、読んで貰って始めて意味があるわけです。相手が読めないようなメールを出してはいけません。これは当り前と言えば当たり前の事です。読めるように受け取る側で工夫する方法もあります。けれど、自分の都合で送っておいて、受け取る人に頑張ってもらうというのはいただけません。相手に伝えるということを正しく行うのは、伝える側の義務だと言って良いでしょう。もしそれがちゃんと出来ないのでしたら、出来るようになるまで勉強や努力を行うべきです。

最初から色々と脅かされたりするとどうして良いか解らなくなってしまうかもしれません。電子メールに限らずに何事でも同じことだと思うのですが、何かやろうとする時に、何も知らずにいきなりやってみるというのはやはり無茶ではないでしょうか。まず最初は様子見をしてみるとか、親しい人に付き合ってもらってやってみるとか、そういうことも考えたほうが良いでしょう。インターネットにおいて重要なのは、この「様子見」であったりします。MLだとかMMだとか、そういったものには、それぞれの雰囲気もありますし、明確なルールや暗黙の了解があったりします。慌てないで、まず見ていて、それから勇気を振り絞って発信をしてみましょう。発信するのに勇気が要るという人ならかえって大丈夫なはずです。その気持ちこそが、きっと受け入れられることでしょう。

さて、一番大事なことだけは最初に伝えておきます。喧嘩はしないこと。メールというものは言葉だけのやり取りです。つまりは「言葉のアヤ」というものや「受け取り方」によって、大変な問題を引き起こすこともあるのです。揚げ足取り合戦に陥ることもあります。言葉の使い方によって誤解を生じることもあります。目の前に人がいない分、好戦的になったり、逆に臆病になったり、そんな人も多いものです。この際、議論が横滑りしようと、誰が誰だかわからなくなろうと、とにかく何がどうなってても良いから、言い争いだけはやってはいけないのです。意図を伝えること、意見を理解してもらうこと、それを優先すべきで、相手を負かすことに走ってはいけません。喧嘩をせず、相手が言いたいことの理解に努めてください。


さて、使い方に関しての、ちょっと技術よりの話を進めましょう。最初に覚えて欲しいことがあります。注意すべきことは、使用する文字の種類です。文字には全角(漢字など)と半角(小さいカタカナやアルファベット)があるわけですが、これらのうち、使ってはならない文字があります。インターネットでは半角カタカナは厳禁ですし、その他にも避けるべき文字がいくつかあります。これらを使うと、正しく届かなかったり、届いても読めなかったりします。ひどい時には、相手のコンピュータが誤動作してしまうことだってあります。使ってはいけない文字は下記の通りです。

もともとインターネットは英語圏で生まれ育ってきたものです。英語のアルファベットや数字などは7ビットのコードで表されています。言い換えると、0〜127までの番号が振られていて、128以上の番号は使わないことになっているのです。これに対して、もうだいぶ前のことですが、半角のカタカナには128〜255までの番号が振られました。ところが、インターネットでは127までのコードしか扱えない仕組みができあがってしまい、半角カタカナは許されないことになってしまったのです。その後、日本語の処理は後から追加されました。ただし、相変わらず半角カタカナは許されていません。むしろ、2バイト文字となる全角文字は対応されました。ですから、全角文字(カタカナも含みます)は使っても良いけれど、半角カタカナは使ってはいけない、というわけです。ところで、全角文字についても、JISで規定されている範囲までは共通で使用できますが、これ以外の特殊文字は使用できません。実は、OSごとに表示が異ってしまうのです。半角カタカナに比べると罪は軽いと言って良いのですが。もうひとつおまけになりますが、半角の¥マークは使用しても良いですが、英語マシンでは半角の逆スラッシュに見えますので、使わない方が無難です。

文字コードというものに付いての説明を試みましょう。文字は全てコード化されています。つまり、全ての文字には番号が割り振られています。この番号の割り振り方がいくつかあるのがややこしい問題を起こしています。例えば、実際に、UNIXワークステーションではEUC、パソコンではSJIS(シフトJIS)という文字配列がもっぱら使われています。そして、インターネット上で流通させるためにはJISを用いるのが原則となっています。そうです、ここに混乱の種があるわけです。世の中にあるメールソフトはJISとEUCとか、JISとSJISとの変換機能を必ず有しています。ところが、設定を誤ると、JISに変換せずにメールを出してしまうこともあるのです。何もしなくてもJISに変換してくれてもいいものを、何故かそうしてくれないことがあるのです。設定項目を確認し、絶対にJISとしておくことが大切です。そうしておかなければ、運が良ければ届く、というようなことになりかねません。

JISとSJISは名前の通り、似たようなコード体系です。歴史的には、JISをベースにしてSJISが作られました。このSJISは、マイクロソフトが作ったため、MS漢字コードと呼ぶ人もいます。この両者が決定的に異なるのは、JISが7ビットコードであるのに対し、SJISが8ビットコードであることです。あまり深い説明はしませんけれど、JISでは漢字も「0〜127」をうまく組み合わせて割り振っているのですが、SJISでは「128〜」も使って番号を割り振っているのです。半角カタカナを使用してはならないのと同じ理由で、電子メールではSJISも使ってはならないことになっています。SJISの方がコンピュータの内部処理としては扱い易いのですが、先に紹介したとおり、インターネット上ではJISの方で扱わなければならないのです。

SJISをJISに変換するように指定すれば良いわけです。簡単なことです。まあ、それはそれとしまして、電子メールに関してのいくつかのルールが定められています。8ビット(128〜255を使った状態)のままでインターネットに電子メールを送ってはいけない、と言うことが最初のルールです。それをクリアするための手段として、JISにする以外の方法を使うこともできます。エンコードと呼ばれるいくつかの方法は、SJISの文字をデータとして扱い、英数字の並びにしてしまうものです。JISを使わずに、SJISにエンコードを加えたものを使う、という方法でも、インターネット的な問題は無く送信ができますが、実のところ、これはひねくれた使い方です。相手側で正しく受け取れるかと言うと、何とも言えません。エンコードについてもオプションで選べるのなら、JISでの送信をちゃんと行うためにも、こういう機能はOFFにしておきましょう。JISをエンコードする必要はありませんし。7ビットになっているJISコードを、更に7ビットにするなんて、ひらがなにひらがなの読み仮名をつけているようなものですから。OutlookExpressとかInternetMailの、メッセージ形式におけるエンコードの指定は、「なし」にしておきましょう。(内緒ですが、私は前科者です。間違えたことがあります。そういう設定項目とは思わなかったからなんですけど)

メール本文を日本語(全角文字)で書く分には、問題はありません。けれど「ヘッダ部」に関しては、できれば避けておきたいところです。ヘッダ部と言うのは、日付や標題、宛先などが表示される部分で、本文の前に自動的に付く物を指します。普通に使う場合なら、標題・差出人の名前(表示名とか本名としてメールソフトに入れたもの)を英数字(半角)にしておくのが無難です。相手が日本人だから読める、と言うのは間違いで、使っているメールソフトによっては正しく表示されず、読めないことがあります。読めないだけで、エラーとかの問題を起こしたりは(普通)しませんが、意味が通じないことはありえます。

メールの文字に色をつけたり、メールに画像を貼り込んだりすると、綺麗で見易いメールができあがりますね。そういう機能を売り文句にしているメールソフトも存在します。これらは、同じメールソフトを使っている相手とのやり取りだけにとどめておいてください。余分な修飾のついたメールは、表示する機能の無いメールソフトを使っている人にとっては、修飾部分が邪魔であることは言うまでもありません。ひどいときはメールが届かなくなります。読めなくなります。必ず、テキストのみという設定にしておきましょう。

ファイル添付も、送付先の全員が必要としている場合以外は行ってはいけません。必然的にMLに対しては御法度になります。それぞれ個々のMLのルール以前に、全てのMLに関する常識にあたるものです。同じように、複数の宛先を指定した場合は、自粛すべきです。ファイルのサイズ自体も大きいものはNGです。画像なんかは大抵大きくなりますから、メールに添付するのは無理でしょう。ではどうするのかと言うと、例えばホームページを経由して見てもらうとか、ダウンロードしてもらうようにしましょう。メールというものは、その仕組みの性格上、大きいファイルを送ったりするのは無駄が多く、推奨できません。基本は、ファイル添付は駄目、くらいで考えるべきです。

設定に関する注意事項はこれくらいでしょうか。

そうそう、マイクロソフトがインターネットエクスプローラに付属させて無料で配布している OutlookExpressは、初期の状態だとHTML形式でメールが発信されるようです(最近のバージョンは良くわかりませんが)。これに対応していないメールソフトを使っている人にとっては障害を引き起こすことになります。たまたま、このソフトは広く普及していて、しかも頻繁に問題を起こすので、一部の方々から目の敵になっていますが、これを使っている方は、充分注意をしてください。使うなとは言いませんが、使わないほうがより良いでしょう。


さて、ここから先は、ネチケット(ネットワーク上のエチケット)、もしくは、気配りの話になります。もちろん強制などはしません。人によって考えが異なるところがあったりもするでしょう。私が今まで見てきたインターネットにおけるコミュニケーション、特に電子メール系に関して、困ったな、とか、困るだろうな、と感じたことを並べてみました。

署名は、長からず、できれば個性が出るようなものにしましょう。長さとしては4行程度が目安と言われたりしています。厳密に行数を数えるより、とにかくうるさくなければ良いでしょう。メールをやり取りしているときに、相手は毎回見るんだと言うことを忘れないようにしてください。妙な自己紹介を付けたところで、2回目以降は見ることも無いわけですし、延々とあれこれを盛り込んでも、その分読み難くなりますよね。

標題の付け方は工夫のしどころです。相当困るのは、「教えてください」しか書いていないものでしょう。本文を見るまで何の話か解りません。急ぎなのかそうでないのか、それも解りません。自分が協力できることで緊急なら、すぐにでもメールを開いて返事を書きたいものですが、そうじゃないなら後でゆっくり見たいものです。標題が無いのも困るものですけれど、どちらかと言うと、「教えてください」の方が余計困るものだと思います。

標題から本文へ繋げてくれるのも止めましょう。上記のように日本語の標題を判読できないメールソフトを使っている人は勿論のこと、そうでなくても、相手先で標題と本文がどういう風に表示されているかってのは、なんとも言えません。同じ画面上に並んで表示されるとは限らないのです。間に別の物が入ったりしようもんなら、大誤解になりますよ。標題は標題。本文は本文。

引用の仕方も注意して欲しいですね。元の文章を全然引用せずに、「私も同感です」とか言われても、何のことだかさっぱり解らなくなります。何の話だかが理解できるくらいには引用してください。そのために引用という機能があるのです。逆に全文そっくり引用されると、スクロールして読むのも面倒になってきますね。こういうのも、誰かをお手本にして、良いトコを真似してください。そうそう、元文章はできるだけ元のままにしておくこと。意味が変わったりすると困りますので。

1行に何文字書くべきでしょうか。読む側のメールソフトの設定で、長い行には自動的に改行が入ってしまうことがあります。もちろん、送信側のメールソフトの設定もありますね。メール本文を作っているときには60文字ごとに改行をいれて、送信時のメールソフトが自動的に50文字ごとに改行してて、受信側で40文字ごとに改行してたりすると、あっという間に見事な中途半端改行メールができあがります。自分の側での設定はきちんとするのは当然ですが、相手先での設定状況にもなるべく合わせてあげたいものですね。せめて、自分が読んでいる状態よりも、更に短いくらいで改行して出すようにしましょう。単語の途中で改行するのも美しくないけど、そこら辺は好き好きですね。

あとさらにいくつか、思い付いたことを書いて締め括りましょう。新しいメールを出す場合、宛先をどうしていますか。受け取ったメールの差出人アドレスを再入力するのが面倒で、一度返信としておいて、原文を全部削除して、新しいメッセージを書くと便利ですね。メールアドレスを書き写したり、画面を切り替えながらコピー&ペーストするよりも楽ですから。でも、これはやってはいけないのです。実はこの時、人間の目ではわからないのですけれど、ヘッダ部分に「どのメールへの返信か」が書かれてしまうのです。メールソフトによっては、この情報を利用して、一連のメールのやり取りとして(これをスレッドと呼ぶ)整理するものがあります。返信機能を使った新しい話題のメールも、別のテーマで発展したものと扱われてしまうから、困ったことになります。それで、こういう横着は止めたほうが良いというわけです。(これも私自身が前科者なのですけどね)

MLに参加する上でのもう一つの心得です。メールアドレスが変更になったりした時には必ず正しい処置を行うことです。そもそも、参加した際には、脱会方法とか休会方法の連絡がされているはずなんです。これはちゃんと取っておきましょう。必要となったら、その方法を使って、しかるべき措置を取るのです。特にアドレス変更については、こういう措置を取らないと、MLの管理者にエラーメールが届いたりして迷惑になります。その他自動的にメッセージを返信するような仕組みを使っている場合、こういうメールがMLへ戻らないように注意しましょう。後始末もできないのなら使わないほうがましです。

言い過ぎになってしまうかと思いますが、日本語の使い方とか、漢字変換とか、そういうにも注意を払うようにしましょう。TVCMで「入れた手のお茶」というのがありましたが、笑っていられません。似たようなケースで誤解を生むことって沢山あるのですから。送信のボタンを押す前にもう一度自分で書いた文章を確認しておくことを勧めます。乱れた日本語を使うと内容も信じてもらえなくなるかもしれません。メールの問題っていうより、国語の問題ですけれど。

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